クラウドの概念 — 対策ポイント

CLF 第 1 分野(配点 24%)の対策。クラウドの利点・Well-Architected 6 本柱・CAF・移行 7R を、混同しやすい用語の切り分けと一緒に図解で押さえます。

この分野の全体像と対策方針

第 1 分野は配点 24%。出題は クラウドの利点Well-Architected フレームワーク(6 本柱)AWS CAF(6 パースペクティブ)クラウド経済性移行戦略(7R) の 5 テーマに集約されます。計算問題はなく、シナリオで示された状況に最も合う用語・概念を選べるか がそのまま得点になります。

失点の大半は「似た用語の取り違え」です。伸縮性と俊敏性、信頼性とパフォーマンス効率、Well-Architected と CAF — いずれも説明文だけ読むと正しそうに見える選択肢が並びます。対策は、各用語を定義で丸暗記するのではなく、「この状況ならこの語」というシナリオ起点のマッピング を作ることです。以下では、出題されやすい状況と正解の対応を図で示しながら、引っかけのパターンも一緒に押さえます。

クラウドの利点 — 言い換えを取り違えない

利点は「需要に自動で追従するか」「速く着手できるか」「固定費を変動費に変えるか」という観点で切り分けます。問題文の動詞・状況語が手がかりで、自動で増減 なら伸縮性、数分でデプロイ/短期間で着手 なら俊敏性、使った分だけ なら従量課金です。

シナリオから利点を選ぶ
急なアクセス増に自動で増減伸縮性Elasticity需要追従・自動数分で世界中にデプロイ俊敏性Agility短時間で着手固定費を変動費に従量課金Pay-as-you-go使った分だけ
出題は左の状況で示され、中央の用語を選ばせます。右はその利点を見分けるキーワードです。
用語正確な意味紛らわしい説明
伸縮性需要に応じて自動でリソース量を増減「数分でデプロイ」は俊敏性
俊敏性短時間でリソースを用意できる開発速度「需要に応じて」は伸縮性
高可用性障害時もサービスを継続できる設計「スケールできる」は伸縮性
スケーラビリティ大規模に処理を拡大できる能力(手動含む)「自動で増減」は伸縮性

ハマりやすい点

「自動」が付くと伸縮性、「速くデプロイ」が付くと俊敏性。レイテンシ短縮はパフォーマンス効率、障害からの復旧は信頼性です。「複数選択で利点を 2 つ選べ」という形式も多く、規模の経済(AWS の大規模調達による単価低下)やグローバルリーチ(数分で世界展開)も候補に入ります。状況のキーワードで 1 つずつ切り分けてください。

Well-Architected 6 本柱と CAF

Well-Architected は 6 本柱の名称当て が最頻出です。特に「災害復旧(DR)=信頼性」「IaC・自動化・継続的改善=運用上の優秀性」「不要支出の削減=コスト最適化」「カーボンフットプリント削減=持続可能性」の対応を覚えます。設計をベストプラクティスに照らしてレビューしたいなら Well-Architected Tool が答えです。

Well-Architected の 6 本柱
運用上の優秀性セキュリティ信頼性(DR)6 本柱パフォーマンス効率コスト最適化持続可能性
名称当てが最頻出。DR(災害復旧)は信頼性、IaC・自動化は運用上の優秀性に分類されます。

Well-Architected は個別ワークロードの設計をベストプラクティスに照らす枠組み、CAF(Cloud Adoption Framework) はクラウド移行・採用全体の戦略を 6 パースペクティブ(ビジネス・人材・ガバナンス・プラットフォーム・セキュリティ・オペレーション)で導く枠組みです。CAF では「リスク管理=ガバナンス」「テクノロジーとビジネスを結ぶ/スキル開発=人材」がよく問われます。役割の違いを一言で言えるようにしておくと、両者を入れ替えた誤答に引っかかりません。

ダミーに注意

「拡張性」「スケーラビリティ」「俊敏性」は 6 本柱には含まれません。選択肢に混ざったら除外します。CAF のパースペクティブに「マーケティング」「財務」「営業」が混ざるのも定番の引っかけ。ガバナンス(リスク管理全般)とセキュリティ(技術的な保護)の混同にも注意します。

移行戦略(7R)とクラウド経済性

移行戦略は「コード変更の度合い」で見分けます。変更なし=Rehost軽微な最適化(自前 MySQL → RDS)=ReplatformSaaS へ置き換え=Repurchase書き換え=Refactor。Rehost と Replatform の境界(マネージドサービスへ寄せる軽い変更があるかどうか)が問われやすい点です。大量データの物理移送は Snowball、DB の移行は DMS、異種 DB のスキーマ変換は SCT を組み合わせます。

戦略内容使いどころ
Rehost変更せず EC2 へ移植(Lift & Shift)最短で移行したい
Replatform軽微な最適化(自前 MySQL → RDS)運用負荷を少し下げたい
RepurchaseSaaS へ置き換え保守をやめたい
Refactorクラウドネイティブに書き換え大幅な改善が必要
Retire廃止不要なアプリ
Retain当面オンプレに残す移行しない判断

コスト見積ツールの違い

既存オンプレを実測して AWS コストと比較するのが Migration Evaluator、カタログから手動で構成を組んで見積もるのが Pricing Calculator です。「移行前の実測比較」なら前者、「提案・予算づくりの試算」なら後者。クラウド経済性では CapEx(資本支出)→ OpEx(運用支出)、規模の経済、Right-sizing(必要十分なサイズ選定)も頻出語です。

まとめ — この分野の対策チェック

  1. 利点はシナリオ起点で即答(自動=伸縮性 / 速い=俊敏性 / 使った分=従量課金 / 世界展開=グローバルリーチ)
  2. 6 本柱の名称と分類を暗記(DR=信頼性 / IaC=運用上の優秀性)。拡張性・スケーラビリティは柱にないと覚える
  3. Well-Architected(個別ワークロード設計)と CAF(移行・採用戦略)の役割の違いを一言で言える
  4. 7R の主要 4 つ(Rehost / Replatform / Repurchase / Refactor)と Rehost↔Replatform の境界
  5. 見積は Migration Evaluator(実測比較)と Pricing Calculator(手動試算)を区別

この 5 点を、混同表とダミー選択肢のパターンとセットで繰り返し確認すれば、計算のないこの分野は安定した得点源になります。