QUESTION

ある会社は、取引先から紙で受け取る請求書をスキャンし、Amazon S3 に PDF で保管しています。同社は月に 2 万枚のスキャン画像について、記載された明細の項目と表を読み取って基幹システムへ登録する仕組みを新しく作ります。あわせて、取引先の担当者と部署が文章で書かれた備考欄から、担当者名と組織名を取り出す必要があります。 ソリューションアーキテクトは、どのステップの組み合わせを推奨すべきですか。 (2 つ選択)

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正解A, D

解説

帳票の画像から構造を取り出す処理と、文章から意味を判定する処理を、それぞれの目的特化型サービスへ割り当てる

  • 1記載された明細の項目と表を読み取って基幹システムへ登録する必要なのは、文字の羅列ではなく、どの見出しにどの値が対応するかという構造です。単語と行までしか返さない仕組みでは基幹システムへの登録に必要な形になりません
  • 2取引先の担当者と部署が文章で書かれた備考欄から、担当者名と組織名を取り出す項目として区切られていない文章の中から、意味で語を特定する必要があります。照合表を突き合わせる方式では表に無い名前を取り出せないため、意味を判定できる仕組みが要ります。
A正解

Amazon Textract でスキャンした PDF からフォームの項目と表を抽出する。

Amazon Textract は、文書からテキストとフォームの項目と表を抽出する目的特化型のサービスです。スキャンした画像に対して、どの見出しにどの値が対応するか、表の行と列がどう並んでいるかという構造を保ったまま結果を返します。

請求書の明細のように項目と表で構成された帳票は、この出力をそのまま基幹システムの入力に対応付けられます。モデルを訓練する準備は要らず、月に 2 万枚という量もそのまま処理できます。

B不正解

Amazon Rekognition でスキャンした PDF の各ページから明細の項目と表を取り出す。

Amazon Rekognition は画像や動画を分析するサービスで、写っている物体のラベル付け、顔の検出と比較、不適切なコンテンツの検出といった用途を受け持ちます。画像に写った文字を検出する機能もありますが、返るのは単語と行までです。

帳票を対象にした場合、どの見出しにどの値が対応するかという構造を項目として返す役割は持たないため、基幹システムへの登録に必要な形の出力が得られません。なお受け付ける画像は PNGJPEG に限られており、PDF をそのまま渡すこともできません。

C不正解

Amazon Comprehend のカスタムエンティティ認識のモデルを訓練し、備考欄の判定に使う。

Comprehend にはエンティティ認識のモデルを自分で訓練する機能があり、業界固有の呼び方や社内の識別子といったあらかじめ用意された検出では表現できない対象を取り出したいときに使います。

しかし本問で必要なのは担当者名と組織名という一般的なエンティティで、あらかじめ用意された検出機能で取り出せます。訓練を選ぶと、学習データ(注釈付きのデータセット、またはエンティティリストと文書)の用意とモデルの保守という作業が上乗せされるだけになります。

D正解

Amazon Comprehend で抽出したテキストから担当者名と組織名を判定する。

Amazon Comprehend は、テキストから感情やエンティティ(文章の中で人や組織、場所などを指す語)を判定する自然言語処理のサービスです。人名や組織名といった一般的なエンティティは、モデルを訓練しなくてもあらかじめ用意された検出機能で取り出せます。

備考欄は項目として区切られていない文章なので、位置や書式を手がかりにする方法では取り出せません。抽出したテキストをこのサービスへ渡すことで、文章の中から担当者名と組織名にあたる語を意味で特定できます

E不正解

取引先ごとの照合表を AWS Lambda 関数に持たせ、備考欄から担当者名と組織名を特定する。

取引先ごとの照合表を持たせれば、すでに登録してある担当者名と組織名は特定できます。運用を始めた直後は期待どおりに動きます。

しかし照合表に無い名前は取り出せず、担当者や組織の名称が入れ替わるたびに表を更新し続けることになります。更新が遅れた期間の請求書は取りこぼしになり、意味で判定できる機能が用意されている以上、選ぶ理由がありません。

ポイント

文書や音声や画像を扱う要件では、入力が何の形かそこから何を取り出したいかの 2 つで担当が決まります。
Amazon Textract — 文書の画像や PDF から、テキストに加えてフォームの項目と表を抽出します。見出しと値の対応や表の行と列を保つため、登録先の項目へ直接対応付けられます。
Amazon Comprehend — テキストから感情やエンティティを判定します。あらかじめ用意されたエンティティの検出が受け付けるのはテキストなので、画像から始まる要件では先に抽出の段が要ります。
Amazon Rekognition — 画像や動画の分析。文字の検出もできますが、返るのは単語と行までで、帳票の項目と表の対応は返しません。
要は、画像から始まる要件は 2 段になることです。1 段目で画像を構造とテキストに変え、2 段目でその意味を判定します。取り出したいものが「表の中の値」か「文章の中の語」かで、どちらの段の話かが決まります。