ネットワークの仕組み — データが正しい相手に届くまで

この記事は、プログラミングやバイブコーディングをする上で最低限身につけたほうがよい IT の実践的な知識を 1 から身につける「IT 基礎知識講座の一部」です。
ネットワークがしていることは、データを正しい相手に届けることです。同じ LAN の中と外で道が分かれる仕組みを、ネットワーク構成図で確かめます。

この記事は、ネットワークを扱います。

ネットワークがしていることは 1 つで、データを正しい相手に届けることです。

データが届くまでに、決まることは 3 つ
送りたいデータあて先を決める道を選ぶ相手に届くIP アドレス同じ LAN の中LAN の外ルーターを通る途中で止まると届かない
左から右へ。上下の枠は、そのときに使うものと通る道です。いちばん右の下が、決まりごとのどれかでつまずいて届かなかった場合。

あて先を決める番号が IP アドレス、道を分ける境目に立つ機器がルーターです。

ネットワークの目的は、データを正しい相手に届けること

ネットワーク(network。ケーブルや電波でつながっていて、たがいにデータを送れる機器のまとまり)は、並んでいるのではなく入れ子になっています。

ネットワークは入れ子になっている
インターネット(世界中の LAN をつないだもの)
  • 世界中の LAN が相互につながっている
会社の LAN
  • 自分のパソコン・同僚のパソコン・プリンタ
  • この中だけで直接データを送れる
家の LAN
  • 自分のスマホ・テレビ
  • 会社の LAN の中は見えない
公開サーバーが置かれている場所
  • データセンターの中にある
  • どの LAN からでも届く
外側がインターネット。その中に会社や家の LAN があり、さらにその中に 1 台ずつの機器がある。

家や会社の中に作る小さいものがLAN(Local Area Network)、それを世界中でつないだ外側がインターネット(Internet)です。

ケーブルの代わりに電波で LAN につなぐ方式がWi-Fi(Wi-Fi)です。

同じ枠の中どうしなら直接データを送れ、枠が違えば直接は送れません。

手順の「同じネットワークにつないでください」は、同じ枠の中に入ってくださいという意味です。

見るところLANインターネット
範囲1 つの家や会社の中世界中
直接データを送れる相手同じ建物の中の機器そのままでは送れない
外へ出るときルーターを通るすでに外側

ネットワークは並列ではなく入れ子

ネットワークとは、たがいにデータを送れる機器のまとまりです。

家や会社の中の小さいまとまりが LAN、それを世界中でつないだ外側がインターネットで、同じまとまりの中どうしなら直接、違うまとまりへは外へ出てから届きます。

同じネットワークの中なら、あて先の番号を見てそのまま届く

機器 1 台 1 台には番号が付いています。

これがIP アドレス(Internet Protocol address。ネットワーク上の機器 1 台 1 台に割り当てられた番号)です。

会社の LAN のネットワーク構成
自分のパソコン192.168.1.10同僚のパソコン192.168.1.11プリンタ192.168.1.20スマホ192.168.1.31ルーター内 192.168.1.1外側の番号203.0.113.5インターネット公開サーバー198.51.100.7
左の 4 台はどれも 192.168.1 で始まる番号を持ち、同じ LAN の中です。右へ出るときは必ずルーターを通り、外の世界からはルーターの外側の番号 1 つに見えます。

番号の前半(192.168.1)が同じ機器どうしが、1 つの LAN です。

送る側は、あて先の番号の前半を見て道を決めます。

あて先の番号を見て、送る側が道を決める
192.168.1.10 から送るあて先192.168.1.20あて先198.51.100.7前半が同じ→ 中前半が違う→ 外プリンタにそのまま届くルーターに渡してから届く
左が送り出すデータ。あて先の番号の前半が自分と同じなら上、違えば下へ進みます。上はルーターを通らず、下は必ず通ります。

同じ LAN の中なら、ルーターを通らずそのまま相手に届きます。

プリンタが同じ部屋のパソコンからすぐ使えるのは、この道を通っているからです。

「IP アドレス」と書かれていたらどちらか確かめる

設定画面や手順書の「IP アドレス」は、LAN の中の番号か、外で使う番号かが書かれていないことがあります。

192.168 で始まる番号なら LAN の中の話、そうでなければ外の話と見分けられます。

外へ出るデータは、ルーターが中継する

枠と枠の境目に立つ機器がルーター(router。2 つのネットワークの境目に立ち、届いたデータを次のネットワークへ渡す機器)です。

1 台ですが、内から見たときと外から見たときで呼び名が変わります。

同じ 1 台のルーターが、内と外で違う顔に見える
==LAN の中から見たルーター外へ出るときの最初の渡し先デフォルトゲートウェイ同じ 1 台インターネットから見たルーターLAN 全体を代表する1 台グローバル IP を持つ機器
上の段が LAN の中から見たルーター、下の段が外から見たルーターで、= で結んだとおり同じ 1 台です。左から右へ、呼び名・役目・持っている番号の順。

外へ出るときに最初に渡す相手がデフォルトゲートウェイ(default gateway)で、設定画面の「ゲートウェイ」はふつうこのルーターを指します。

LAN の中だけで通じる番号がプライベート IP アドレス(private IP address)、インターネット全体で 1 つに決まる番号がグローバル IP アドレス(global IP address)です。

見るところプライベート IPグローバル IP
通じる範囲その LAN の中だけインターネット全体
重複別の LAN に同じ番号がある世界で 1 つ
持っているものLAN の中の機器ルーターの外側・公開サーバー

外から見えているのは、ルーターが持つグローバル IP アドレス 1 つだけです。

自分で決めるのはあて先だけで、途中でどの機器を通るかはその時々で変わります。

外へ出る道は 1 本、通り道はルーター

ルーターは 2 つのネットワークの境目に立ち、外へ出るデータと外から返るデータを中継します。

外へ出るときに最初に渡す相手がデフォルトゲートウェイで、外から見えているのはルーターのグローバル IP 1 つだけです。

届かないときは、どこで止まったかを見る

中から外へは出られますが、逆向きはそのままでは通りません。

外の機器は LAN の中の番号を知らず、ルーターも外から来たデータをどの機器に渡せばよいか決められないからです。

向きによって、通るか止まるかが変わる
データの向き中 → 外自分から送る外 → 中外から送られるルーターが中継するルーターで止まる相手に届く届かない
上が中から外へ出る向きで、ルーターが中継して届きます。下が外から中へ入る向きで、ルーターで止まります。だから公開するものは、はじめから外側に置きます。

これが、手元で動かした my-app に外の人がつなげない理由です。

外の人にも使ってもらうには、はじめから外側にあるコンピュータにファイルを移します。

それが公開サーバーで、移す作業がデプロイです。

公開サーバーは、はじめから枠の外に置いてあるコンピュータです。

移す作業は、この講座の「デプロイと環境変数」の記事で扱います。

届かないとき、相手がどこにいるかで見る場所が変わる
データが届かない相手は同じLAN の中相手はLAN の外番号の前半が同じか見るルーターまで行けたか見るつながっていないか番号が違うゲートウェイの設定を見る
左が症状。相手が同じ LAN の中か外かで分かれ、右へ進むほど確かめる場所がしぼられます。

相手が同じ LAN の中なら、ルーターは関係ありません。

外の相手に届かないときだけ、ゲートウェイの設定を確かめます。

公開サーバーが要るのは、外から中へ入れないから

中から外へは出られますが、外から中へはルーターで止まります。

手元のパソコンは LAN の中にあるので外の人からは届かず、誰からでも使えるようにするには、はじめから外側にある公開サーバーへファイルを移します。

QUIZ

理解度チェック

まずは1問ずつ答えてみましょう。

Q1同じ LAN の中のプリンタにデータを送るとき、ルーターを通りますか。

Q2LAN の中の機器が外のサーバーへデータを送るとき、最初に渡す相手はどれですか。

Q3自分のパソコンで動かした my-app に、外の人がつなげないのはなぜですか。